自賠責保険の限度額
●自賠責限度額と健康保険の関係
交通事故が原因で、病院で治療する場合、以下の3つの方法があります。
①自由診療
②労災保険適用
③健康保険適用
※自由診療というのは、病院が診療報酬制度に左右されないで自由に治療費を決める、という意味で使われます。
傷害の自賠責保険の支払限度額は120万円です。事故の過失割合で相手が全面的に悪く、こちらの過失が小さい場合は自由診療でも、すべて相手が払ってくれるのですから問題はないと思います。しかしこちらの過失が大きく自賠責保険のみが頼りとなったような場合、治療費だけで120万円をすぐ使い切ってしまうということはいとも簡単に起こりうることです。
事故の場合に、健康保険が使えないと思い込んでいる人もいますが、健康保険指定病院でさえあれば、交通事故で治療する場合は必ず健康保険が使えます。
病院の治療費の請求は1点単価というので行なわれます。その単価が、健康保険で10円、労災で12円、自由診療は病院ごとに自由に決められるのですが平均で約20円と健康保険の倍も高いのです。何もいわなければ、病院は自由診療で治療しようとします。請求の手間がかからず、さらに儲かるからです。人と人がぶつかってケガをしたら健康保険は使えるのと同じ理屈です。交通事故では健康保険が使えないと思い込んでいる人がいますが、まったくの誤解です。もちろん健康保険法で認められていない治療までは認められません。
どうしても事故でかかった病院が健康保険は使えないと言い張るようでしたら、厚生労働省に確認してください。過去に誤解のないように、と通達まで出ていることです。また、今まで自由診療で治療していて、もうすぐ治癒(治ることです)するような場合でも、申し出れば健康保険に切り替えることができます。病院はいやな顔をするでしょうが、最初からそうしなかった病院が悪いのです。遠慮することはありません。
●実際の治療の中の自賠責の補償
傷害の場合は、120万円が限度ですが、治療費をはじめ、休業損害から傷害慰謝料までいろいろな項目があります。健康保険の倍もかかる自由診療を受けてしまうと、ケガの程度にもよりますが治療費だけでいっぱいになり、まったく他の費用をもらえなくなってしまいます。たとえば、自由診療で治療費が150万円とします。すると限度の120万円を超えてしまうので、差額の30万円は自腹ということになってしまいます。過失割合が5分5分の事故の場合は、相手方は150万円の半分の75万円を負担しなければいけないことになりますが、すでに自賠責から120万円の支払を受けていることになり、相手の分は賄われていることになりますから、30万円はすべて自腹ということになってしまうのです。
いわば早い者勝ちです。健康保険で治療していて3割は自己負担。月単位で診断書と診療報酬明細書をとり、休業損害などとともに請求します。保険会社では、請求が来た順に処理します。その請求がトータル120万円になれば、それ以降の請求はアウトになります。同時にくれば限度まで残っている金額を按分されます。要するに被害者からの請求も社会保険からの請求も優劣はないのです。だから早い請求が得とするようになるのです。健保や国保はだいたい3ヶ月に一度の請求となっています。全体で120万円を超えてしまうような場合は、うかうかしていると健保や国保などに持っていかれてしまうことになります。
過失割合から見て、ほとんど相手が悪いという場合でも、相手に資力がなく任意保険にも入っていないで自賠責のみしかないという場合でも、治療費をできるだけ抑えたほうがよいのです。
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