現在における自動車保険
●自賠責保険とその周り
自賠責保険が誕生したのと同じ理由で、被害者の救済を目的とした制度がたびたび作られてきました。たとえば公害問題に端を発して作られた「大気汚染防止法」。道路の瑕疵や公園の管理に問題があって事故を引き起こした場合に管理者である国に賠償を求める「国家賠償法」。砒素ミルク事件等をきっかけにできた「製造物責任法(PL法)」など、それらは民法の特別法として、被害者が証明しなくとも、被害を被ったという事だけで賠償を受けられるようにしたものです。これらの法のおかげで、各企業の製品に対する安全基準は格段に高められました。保険会社の事故担当者が、人身事故と物損とで担当者が異なるのはこのような法のためです。もとになる法律が根本から違うのです。保険会社の物損の担当者は物分りがいいけれど、人身事故の保険会社の担当者は話が通じない! と怒る被害者が多いのも、もととなる法律が根本から違うことが原因です。一般的に物損は、それほど金額的に賠償額が高くなることはありません。しかし人身事故は多額の賠償が発生します。保険会社も慈善事業ではないので、なんとか支払う額を少なくしようと頑張るのが実際の姿なのです。
●自賠責保険の現状
自賠責の賠償額の限度は一事故一名につき、死亡3000万円。重度後遺障害4000万円。怪我の場合は120万円と決められています。車の修理代などの物を損壊してしまった場合には絶対に対応しません。対人賠償のみです。現在、死亡事故の賠償額が2億円を超えることもまれではないので、自賠責保険だけでは賄いつきませんので、それに上積みして任意保険(一般的な自動車保険)をかけるのです。
一般的な常識のある人ならば任意保険を掛けずに車にのることはほとんどないでしょう。しかし実際に、自賠責保険だけにしか加入しないで車に乗っている人がいることも事実です。最悪の場合、原付自転車でよくあることなのですが、更新の手続きをうっかり忘れて自賠責すら入っていなかったということもあるのです。そういう車によって重度の被害者にされてしまった場合は、被害者はもちろん加害者にとっても苦しみの生活がスタートすることになってしまいます。自賠責の補償範囲を誤解して入らなかった人もいるでしょう。若い人で、「任意保険にかけるお金がもったいない」と世間一般の金銭感覚がまだ十分に備わっていないがために任意保険に入らない方もいるでしょう。しかしそんなことは、損害賠償の責任を逃れるための口実にはなりえません。
携帯電話をかけながら、ペットボトルをのみながら片手で、前方不注意で歩行者にぶつけて死亡事故まで発生しています。こんな現代で、被害者はもとより加害者にとっても、自賠責保険および任意保険などの自動車保険が、どれほど重要なものであるかということは、理解できると思います。
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